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リグレー・フィールド観戦記

手に汗握る投手戦

7回表2アウトランナーなし、1-0でカブスがジャイアンツをリード。マウンドでは、いい当たりをされながら粘投を続けてきたカブスの先発投手ヘンドリックスが球数100球にさしかかったところ。打席には今日好調の5番ブランドン・ベルト。

ヘンドリックスは初球から2球続けてボール球を投じ、2-0となった。少し疲れが見える。その時、リグレー・フィールドに集結したカブスファン達は、一人一人ゆっくりと立ち上がり、最終的には全員がスタンディングオベーションで、励ましのエールをヘンドリックスに送った。

ファンの声援を受けたヘンドリックスは、最後の力を振り絞り、ベルトを外野フライに打ち取った。仕事を終えてベンチに戻ってきたヘンドリックスを、ファン達は割れんばかりの拍手で迎えたのだった。

野球への理解が深いカブスファン達

メジャーリーグには、日本プロ野球のような楽器や応援歌を使った組織的な応援はなく、各自が思い思いに声援やヤジを送る。それだけに、球場の空気には、その土地の人柄が色濃く表れる。

カブスファンは、野球のことを深く理解していて、それでいて温かい人達だった。冒頭のシーンは、一見とても地味なシチュエーションである。ビジターチームの攻撃中、たいしたピンチにも見えない。三振を取れそうにもない。そんな渋い場面で、カブファン達は誰に言われるともなく自然と立ち上がり、この日一番の声援をヘンドリックスに送った。あのとき、ファンの心は間違いなく「このバッターが今日最後の仕事だ!投げ切れ!」という気持ちで一つになっていた。今まで味わったことのない一体感が球場を包み、とても心地よい経験だった。

市民の生活に溶け込んだカブス

シカゴ・カブスはメジャーリーグの中でも最長の歴史を持つチームであり、本拠地のリグレー・フィールドも二番目に古い球場である。それほどまでに長い時を共にしたシカゴ市民の方々にとって、カブスは生活の一部である。

平日の昼間にも関わらず多くのお客さんが訪れる
球場そばにあるマンションの屋上は正式な観客席として使われている

勝利の印『Go Cubs Go』を歌いながらご機嫌で帰って行くおじさんや若者達は、また明日も当たり前のように球場を訪れるのだろう。そんな環境を、心から羨ましく思う。