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モードを持つ両面カードはバグの宝庫

モードを持つ両面カードはバグの温床

カルドハイム発売直後、ティボルト続唱というコンボがモダンを席巻しました。

このデッキは、3マナ続唱呪文で2マナの「嘘の神、ヴァルキー」がめくれたら、7マナであるはずの裏面「星界の騙し屋、ティボルト」を無料で唱えられるという、ルールの穴を突いた「バグ」を悪用していました。

このインチキムーブを問題視したウィザーズ社が、発売わずか1週間で続唱の効果を変更するエラッタを出したため、ティボルト続唱デッキは一瞬の輝きを残した後に無事(?)成立しなくなりました。

さて、この問題はこれで終わったといえるでしょうか。私はそうは思いません。これは本来、続唱ではなく「モードを持つ両面カード(Modal Double-Faced Card、以下MDFC)」側の問題です。カードプールの拡大に伴い、MDFCは今後も様々なバグを産むと思います。

MDFCの課題

まずは、MDFCが抱えるルール上の課題について説明します。

プレイする前は○○だが、プレイした後は△△

MDFCは、戦場やスタック以外の領域では表面の特性のみを持ちます。その一方、プレイするときは両面から好きな方を選べます。プレイする前の特性と、プレイした後の特性が食い違う可能性があるカードなのです。

MTGのルールは、基本的にプレイ前後で特性が変わるようなカードの存在を想定せずに作られています。そのためMDFCは、様々なケースで想定外の動きをしてしまうのです。

今回、ヴァルキー+ティボルトは

  • プレイする前は軽いが、プレイした後は重い
  • プレイする前は単色だが、プレイした後は多色

といった2種類の食い違いが悪用されました。今後印刷されるあらゆるMDFCカードも、同様に様々な観点から悪用を試みられるでしょう。

分割カードと同じ解決方法はとれない

MDFCは、1枚に複数の呪文を搭載しているという意味で分割カードと共通点のあるメカニズムです。実は、分割カードも過去に一度、MDFCと同じ道を通っていました。

分割カードはもともと、スタック以外の領域では2種類の異なるマナ・コストを持っていました。そのため、ヴァルキー+ティボルトと同じように、軽い方を参照して重い方を踏み倒すという悪用が可能でした。

しかし、2種類のコストを持つことによるプレイヤーの混乱を問題視したウィザーズ社は、2017年に分割カードのルールを変更しました。それによって、分割カードは、スタック以外の領域では両方のマナ・コストを足した1つのコストのみを持つようになり、悪用の余地はほとんどなくなりました。

それならば、MDFCも分割カードと同じ方法で問題を解決できるのではないでしょうか。なぜ今回、ウィザーズ社は続唱側のルールを捻じ曲げるという中途半端な手段をわざわざ選んだのでしょうか。

私は、分割カードのやり方をMDFCに適用するのが難しい理由は2つあると思います。

理由①:プレイアビリティが最悪

まず、カードを参照するたびに毎回裏面を気にしなければならないのは煩雑すぎます。致命的に煩雑です。

特にオフライン対戦では、基本的にMDFCの裏面が全く見えない状態でプレイします。表面には裏面の情報は申し訳程度にしか書かれていないため、ゲームの途中でそのカードを参照するときには、いちいちスリーブから出して裏面を見なければなりません。悪夢以外のなにものでもありませんね。

理由②:変身する両面カード(TDFC)との整合性

①よりは軽い理由ですが、個人的にはこれもあると思います。MDFCは両面カードの1種であり、分割カードよりも両面カードとの整合性を気にする必要があります。

MDFCが常に両面の特性を持つなら、全体的なルールの整合性を取るため、TDFCもそれにあわせることになるでしょう。そうすると、例えばアズカンタの探索は、手札にあるときから(まだ変身していないのに)土地ということになってしまいます。これは相当直観に反する扱いだと思います。

今後発生しそうなバグ

そのため、MDFCはこれからも、プレイ前後の特性が食い違ったままになるでしょう。そこで、今後発生する可能性のありそうなバグについて考えてみました。

MDFCのバグが起きやすい領域は、ライブラリー、墓地、追放領域、それと対戦相手の手札です。これらの領域で表面と裏面の特性が大きく異なるカードは、バグの原因となる可能性があります。

表面だけがソーサリー・インスタントのケース

ソーサリーやインスタントは、墓地やライブラリーから唱えられることの多いカードタイプです。今はまだありませんが、今後表面がソーサリーやインスタントで、裏面がパーマネント呪文のカードが出てきたら、様々な手段で悪用できそうです。

例えば、戦慄衆の秘儀術師や奔流の機械巨人のように、ソーサリー・インスタントカードを対象にとって解決中に直接唱えるような能力は、表面が条件を満たしてさえいれば、裏面がパーマネント呪文であっても、両面から好きな方を唱えることができます。

この能力でパーマネント呪文を唱えた場合、追放のデメリットを無視できる可能性が高いです。

また、表面がソーサリー・インスタントで裏面がパーマネントのカードが裏面で戦場に存在するとき、それを明滅すると追放領域から返ってこなくなります。

この事象は、ゼンディカーの夜明けで登場した表面がソーサリー・インスタントで裏面が土地のカードでも発生します。土地は明滅される機会が少なく、また悪用もしづらいため現時点ではあまり目立っていませんが、これも立派なバグだと思います。

表面だけが土地のケース

土地は必需品のため、ゲーム内では最も手に入れやすく、また失いづらいよう設定されています。可能性は低いと思いますが、今後表面が土地で裏面が呪文のカードが出てきたら、様々なカードの価値に影響を与えます。

まず、土地は他のカードに比べてサーチコストが軽いため、非常にサーチしやすい呪文が生まれることになります。土地サーチ呪文の価値は軒並み暴騰するでしょう。

また、軽量ハンデスも回避できるため、非常に対処しづらい呪文になります。

裏面だけが土地のケース

このケースの悪用は出尽くした感がありますが、裏面だけ土地のカードは、土地が出るまでライブラリーをめくる能力と混ざったときにバグを引き起こします。

ちなみに、このカードは前述した表面だけ土地のカードとは反対に、サーチしづらくハンデスも受けるため、純粋な土地として見た場合の信頼度は若干下がります。

表面が裏面より重いケース

両面ともパーマネント呪文で、表面だけが重いカードは、一度裏面で唱えて明滅させればコストを踏み倒せます。変異でも時々悪用されるバグですね。

既存のカードには、踏み倒す手間をかける価値があるほどコスト差の大きいものはまだありませんが、今後この方法で悪用できるカードが登場する可能性はあると思います。

また、呪文捕らえでMDFCを追放した場合、唱えなおすときには両面どちらを唱えることも可能です。妨害のつもりが思わぬところで重い反撃を食らう可能性があるため、注意が必要です。

裏面が表面より重いケース

今回続唱で悪用されたタイプのバグです。

ライブラリーや墓地から、点数で見たマナ・コスト(近く「マナ総量」に名前が変わるそうですね)を条件にカードを探し、コストを踏み倒すタイプの呪文や能力は、続唱以外にもたくさんあります。

今回続唱以外の呪文は修正されなかったため、ティボルトのように表が軽く、裏は重いカードはこのタイプの能力で安く唱えることができます。

ちなみに、前述した呪文捕らえの注意点はこのケースにも当てはまります。

終わりに:避けられないなら利用するまで

おそらく、MDFCの課題が完全に解消することはないでしょう。

開発部にとっては頭が痛いと思いますが、プレイヤーとしては、このバグを利用しない手はありません。

今後新たなMDFCが出るときは、ここに書いたような観点で悪用できるカードがないかチェックしてみましょう。意外なコンボを見つけられるかもしれません。(すぐに規制される可能性はありますが)

ここに書けていないバグを見つけた方は、ぜひコメントやTwitterで教えてください!